日本の人口が伸び悩み傾向にあるのはともかくとして、その中で仕事をしている人口はどの位かということがしばしば話題になります。これを公式に言えば就労人口となります。経済産業省は毎年就労人口についての調査をおこない、その結果を公表していますから、その調査結果を見ればグラフィックデザイナーの人口が分かる仕組みになっている(?)はずです。ところが(?)をつけたのは、実はこの調査結果からは正確なグラフィックデザイナー人口は算出することができないのです。
理由は簡単で、調査項目にグラフィックデザイナーという言葉はなく、デザイン制作会社もデザインというくくりだからです。この調査は特定サービス産業という分類になっていて、平成22年度のデザイン会社数は約7,200社、デザイン就労者数はわずかに約32,000人です。これが実数だとすると、まさにグラフィックデザイナーは特殊な職業になってしまいます。
そこで幅を広げて広告代理店数を見ますと9,200社強で、就労者数は13万3,500人になります。この数字も実態を示しているとは言い難く、どのような基準でこのような分類をしているのかは分かりませんが、実際には一説によりますとグラフィックデザイナーの数は10万人から15万人とも言われています。
この10万から15万人も5万人の幅がありますから、そのまま信用することはできません。しかし巷の話から分かる範囲で想定しますと、例えば、あるデザイン制作会社は社員が60名で、そのうちの15人がグラフィックデザイナーですから、これから推察すると12万人から13 万人は動かない数字だと考えられます。さらに企業内での自社グラフィックデザイナーを加えれば、15万人という数字は頷けます。
このような役所の発表は有難いのですが、どうせ調査をするのであればもっと具体的な項目での調査結果が欲しいと思います。デザインというだけではその内訳は分かりませんし、しかも全国でわずか3万人程度では、まさに砂の中の針を探すようなものです。ここで批判をする気はさらさらありませんが、このようなことで、グラフィックデザイナーの人口は15万人程度として、毎年デザインスクールを卒業するグラフィックデザイナーの卵の半数が就業したとしますと、それだけでも数千人にはなります。
グラフィックデザイナーの求人は活発で、就業者と入れ替わって引退するグラフィックデザイナーもいるでしょうし、異業種からの転職も頻繁になると考えられます。
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IT・デザイン・クリエイター向け求人サイト、グラフィカルジョブのライターです。デザイン業界に関する皆さんの疑問にお答えできる記事を投稿していきたいと考えています。