よく聞く会話で、それは割に合わない仕事だという言葉があります。割に合わないというのは、客観的に見ても主観的に見ても、働いた割にはその見返りとなることが少ないことです。これは金銭面でのこともありますし、金銭が絡まないときもあります。また、最初から割に合わないということを承知して、仕事を受けることもあります。
割に合わないというのは、このように見返りと仕事自体のバランスがとれていなくて、仕事の内容と比べると報酬が少なかったり、評価が低かったりすることです。数で明らかに評価できる仕事では、その仕事が割に合わないかどうかは事前に分かることがありますが、数値化することができない仕事は、それをし終わってからの報酬なり評価なりがあるまでは分かりません。その点ではグラフィックデザイナーの仕事は数値化ができないので、しばしば割に合わないことが起きるようです。
これはグラフィックデザイナーだけに限らず、その人がフリーならばともかく、デザイン制作会社に勤務している場合は会社も割に合わない仕事を受注したことになります。会社は普通であればいくらかの利益を確保できるはずが、グラフィックデザイナーに残業代を支払ったり、新しいソフトウェアをその仕事のために購入すると、収支で足が出て割に合わない仕事になります。それを避けるためにグラフィックデザイナーに残業代を支払わないと、今度はグラフィックデザイナーが割に合わない仕事をしたということになります。
大半の場合、会社は残業代を支払わないでしょうから、このケースではグラフィックデザイナーだけが割に合わない仕事をしたことになります。これでは割に合わない仕事はしたくないとぼやきたくもなります。フリーの場合は最初からそれが分かっていますから、割に合わなくてもその分は別の仕事で穴埋めをしようと割り切れますが、会社に勤めているグラフィックデザイナーは、それを契機にその会社を辞めてほかのデザイン制作会社をさがすことになりかねません。一度や二度ならばまだ我慢もするでしょうが、頻繁に割に合わない仕事を押し付けられたのではいくら人が良いグラフィックデザイナーでも転職を考えるようになるでしょう。
これが誇大化されてクチコミになって広まると、そのデザイン制作会社はブラックになりますから、会社としてはこのようなことがないように気をつけるでしょう。しかし、そうは言っても受注競争が激しい入札の仕事などではこのような受注もあるようです。これは公官庁の仕事ですが、公官庁の印刷物が余り評価されないのは、割に合わない仕事が多いからかも知れません。しかし税金の無駄遣いはできませんから、難しいところです。
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IT・デザイン・クリエイター向け求人サイト、グラフィカルジョブのライターです。デザイン業界に関する皆さんの疑問にお答えできる記事を投稿していきたいと考えています。