今ではかなり改善されたのか、それとも表沙汰にならないだけか、残業による過労で命を落とす人が一時期は大きな社会問題になりました。また、最近では残業を是とし、残業代は支払わないで、成果次第で報酬を査定するという話もでてきています。これは無茶な話だと、労働組合側はこの話には大反対です。そこで成果制と時間制を並立させるという話に傾いているようですが、これは今後議論を呼びそうなテーマです。
もちろん残業なしが理想的で、残業をしたらその分は残業代を支払う、あるいは残業を少なめにするという方法が常識的なことは、言うまでもありません。しかし、経営者側から言わせると残業は当たり前で、能力がなくて残業をするのだから残業代なしの残業は働く人にその原因がある、ということのようです。こうなると水掛け論で、どちらが正当な主張なのかは誰も答えることはできません。これを社会の貧困だと言ってしまえばそれまでのことですが、果たしてこれでいいのでしょうか。
グラフィックデザイナーも人の子ですから、休む時は休むことができる生活をするのが当たり前です。百歩譲って残業をするにしても、残業少なめなら致し方はないでしょう。例をオーストラリアなどのグラフィックデザイナーで見ますと、これはWebデザイナーですが休みの日に仕事をすると、時給計算で通常の2倍程度になるそうです。こうなると経営者は極力そのようなことがないように、仕事のスケジュールを立てるでしょう。ところが日本の場合は正直なところ会社は莫大な利益をだしているにも関わらず、従業員の給与や残業手当はその割には低いのが実態です。
これは国も頭が痛いところで、経済の活性化を図るためにも従業員のベースアップを経営者側に要請しています。この効果は大企業に限り少しでているようですが、とても中小企業までは波及していません。批判的なことを言うつもりはありませんが、トータルな見地からグラフィックデザイナーの残業少なめ、あるいは残業なし、したがって残業代もなしという意識が現実のものになれば、グラフィックデザイナーのクオリティとステイタスも一段とアップすることは間違いがないところです。
グラフィックデザイナーが自ら進んで残業をすることに、反対はしません。それはクリエーターとしての責務であり、またそうしなければグラフィックデザイナーはその仕事の成果に達成感や満足感、やりがいを感じないでしょう。
しかし、そうではない残業はなしという職場環境が望ましいと言うことに異論を唱える人はいないと思います。
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IT・デザイン・クリエイター向け求人サイト、グラフィカルジョブのライターです。デザイン業界に関する皆さんの疑問にお答えできる記事を投稿していきたいと考えています。