フリーランス、あるいはフリーもしくはフリーランサーということはどこの会社にも属していないで仕事をする人です。このような人は個人事業主ということになり、自分でお金を稼ぎ、税金を払って生活をする人です。プロ野球選手もある面ではフリーランスですが、球団との契約がありますから、純粋なフリーではありません。
これをグラフィックデザイナーに当てはめてみますと、何社かの企業と印刷物の制作をするという契約がある場合はプロ野球選手と同じことになりますから、原則としてその企業の業務に該当する仕事をすることはできなくなります。たとえばA化粧品メーカー、B電機メーカーの広告宣伝物を制作するという契約をした場合、ほかの化粧品メーカーや電機メーカーの仕事をするのはモラルに反します。ただしそれが単発契約ならば終了次第ほかのメーカーの仕事をすることができます。
しかし、このような場合、二通りの考え方があるようです。ひとつはA化粧品のあのポスターを制作しているからウチのポスターも頼みたいとC化粧品メーカーが仕事を依頼することです。別の場合はこの逆、でB電機メーカーのカタログを制作したグラフィックデザイナーには競争相手のD電機メーカーは仕事を頼まないということです。
アメリカの広告代理店の有名な話で、ある広告営業マンが何気なく煙草を吸った時に使ったライターが競合メーカーのライターなのを見た担当者が、その場ですべての契約をキャンセルしたというエピソードがあります。
これはアメリカだけのことではないようです。しかし、グラフィックデザイナーに能力があれば、競合相手の仕事をしていることがプラスに働くことがあるようです。ただしそのような場合には、ある一定期間は契約で拘束されるかも知れません。ところがこれならば仕事を依頼されたのも同じことですから、むしろグラフィックデザイナーにとっては嬉しいことです。フリーランスのグラフィックデザイナーはこうでありたいですね。優秀なグラフィックデザイナーを確保しておけば、その企業はほかの同業企業よりも良い印刷物で広告宣伝ができるのですから、企業側も好条件を出すでしょう。そうなればポスターなどに自分の名前や屋号をクレジットとして載せることができたりもしますから、一躍ギャラもアップしますし、名前も有名になります。
そうなるとデザイン学校などから、講師としての依頼も来るでしょうし、個展を開けば作品が高値で売れます。ここまでこられるのがフリーランスの特権で、会社勤務ではまずこのようなことは望めないでしょう。
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IT・デザイン・クリエイター向け求人サイト、グラフィカルジョブのライターです。デザイン業界に関する皆さんの疑問にお答えできる記事を投稿していきたいと考えています。