資格社会とも言われる日本ですが、資格をとるための検定があります。資格には国家資格があり、検定には国家検定があります。これらの国家資格や国家検定は限られた分野のためで、例えば医師や弁護士などです。また、国家ではありませんが、それがあると就職で有利になるという資格や検定はいくつかあります。
このような観点からグラフィックデザイナーの検定を見てみますと、必要不可欠の検定はグラフィックデザイナーにはありません。ただし、多少関係がある検定であれば、色彩検定、CGクリエーター検定、画像処理検定、DTPエキスパート認証、色評価士検定など、あまり馴染みのないものはあります。しかしこれらのどれもがグラフィックデザイナーの就職に関係するかと言いますと、これは関係しないと言うのが正直なところでしょう。グラフィックデザイナーは検定で仕事をするのではなく、実力で仕事をするのです。
グラフィックデザイナーとして仕事をしている人で、自分の実力を試すと言う意味でこれらの検定を受けるのは個人の好みですし、色彩感覚を磨きたいということで色彩検定を受けるのは意味がないとは言いませんが、それに費やす時間があるかどうかということもあります。
また、一人前のグラフィックデザイナーであればそのようなことは無いと思いますが、万が一これらの検定を受けて不合格になったりすると、かえって自信を無くすことにもなりかねません。逆に高校で成績が良くて首席で卒業しても、その学生が大学入試で成績が思わしくなく、希望する大学に入学できないことがあるのと同じことで、検定に合格をしたから実務に優れているとも言い切れないのです。
ここでグラフィックデザイナーと検定についてまとめてみますと、直接的な検定というものはなく、検定と名がつくものは多少グラフィックデザイナーに関係があるにしても、その検定を受ける必要も無ければ、検定で良い点数をとったから、それが実務で役に立つかと言いますと、そのようなことはないでしょう。これはグラフィックデザイナーの仕事は検定をしようにもその明確な基準がないからで、グラフィックの世界は点数化することはできないのです。
それはグラフィックデザイナーの作業はセンスと感性、あるいはアイデアの勝負であり、○×式の試験やマークシートの試験などでは実力を推し測ることができないからです。したがって、グラフィックデザイナーは検定云々を考えるのではなく、それよりもいかにして自分の感性を制作に生かすことができるかを考えるのが大切であり、同時に経験を財産にして、アイデアの引き出しを自分の頭の中に増やすことに努めるほうが大切になるでしょう。
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IT・デザイン・クリエイター向け求人サイト、グラフィカルジョブのライターです。デザイン業界に関する皆さんの疑問にお答えできる記事を投稿していきたいと考えています。