パソコン用のソフトウェアに、Illustratorというものがあります。まさにイラストレーターそのものが、ソフトの名称になっています。Illustratorとは画像を作成・編集するソフトウェアで、そのために直線やベジェ曲線、円などの図形を組み合わせて画像を描きます。文字も書けますが、Illustratorはまさにイラストレータ―が手作業でおこなうことをパソコンの画面上にデジタルで描くことができます。
それならば、今までのイラストレーターはもう必要がないのではないかと思うのは早計に過ぎます。いくらIllustratorがイラストを描けると言っても、そのイラストを描くのは人であり、ソフトウェアが自動的にイラストを描くことはできません。そこでイラストレーターという特殊なスキルを持つ人が必要になります。グラフィックデザイナーでイラストや絵を描くのが得意ならば、Illustratorというソフトウェアを使ってイラストを描けます。しかし、そのようなスキルを持つグラフィックデザイナーはそうは居ません。
多くの場合、グラフィックデザイナーはイラストレーターが手で描いたイラストを電子的にパソコンに取り込むことになります。イラストレーターもさまざまで、絵画的なタッチが得意な人、メカニカルなイラストが得意な人などが居ます。一級建築士などはある意味ではメカニカルイラストレーターと言えるかも知れません。そうなるとDTPオペレーターは、CADオペレータ―の分野になります。
通常の場合、グラフィックデザイナーはデザインの素材としてイラストレーターが描いたイラストを使用します。イラストレーターはその意味ではポスターなどの印刷物や、Webデザイナーが使用するインターネットのサイト用の素材を作る人であり、グラフィックデザイナーとイラストレーターはそれぞれが独立した分野を確立しています。同じような業界に属してはいますが、イラストレーターは画家の領域にも近い存在とも言えます。イラストタッチの絵を描くことで著名な画家はたくさん居ますし、ある意味ではデッサンはイラストと共通しています。
グラフィックデザイナーにデッサンの能力は必要ですが、それはデザイン全体を構築するためであり、イラストそのものを描く能力とは異なります。専門は専門で、グラフィックデザイナーとイラストレーターはそれぞれが特殊な才能とスキルを持っているのです。したがって、グラフィックデザイナーでイラストも描ける、あるいはイラストレーターでグラフィックデザインもできるという人は貴重な存在と言えるでしょう。ただしそこまでを要求するような求人は無く、求人ではグラフィックデザイナーとイラストレーターはきちんと区別されています。
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IT・デザイン・クリエイター向け求人サイト、グラフィカルジョブのライターです。デザイン業界に関する皆さんの疑問にお答えできる記事を投稿していきたいと考えています。