グラフィックデザイナーの多くはデザイン会社あるいは広告代理店に勤務する会社員で、毎日会社に出勤するということではほかの営業や総務などと同じです。総務などでは余り残業をしないようですが、制作部門のグラフィックデザイナーは残業が多く、それもグラフィックデザイナーが退職して独立する理由のひとつのようです。
独立したグラフィックデザイナーが、そのままグラフィックデザイナーとして仕事を続ける場合は、フリーランスとしてか、あるいは自分で会社を設立するかになります。フリーランスの場合は個人事業主という立場になり、会社を設立する場合は経営者の立場になります。フリーランスとして一人で働くにしても身分は経営者並みなので、会社は無くても事実上会社と変わらないことになります。個人事業主は毎年確定申告をしなければなりませんから、その意味では会社と同じことになるのです。
そこで、会社と同じなら一人での個人事業主よりも株式会社を設立しようということになります。株式会社を作るのに、今ではそれほどの資金は必要ありませんし、会社があれば社会的な信用度も増すでしょう。
また肩書きも代表取締役になり、将来会社が発展すれば、今度は自分が社員を雇用する立場になれます。そのようなことから、独立して自分で会社を設立するグラフィックデザイナーが多いのですが、そうすると今までには考えなくても済んだ部分にまで気を遣わなくてはならなくなります。それは会社と言うからには、総務、営業、経理、制作の四部門があり、それを一人でこなさなければならないからです。
独立する前には、毎月の給料やボーナスは自動的にそこから税金が差し引かれていましたが、自分で会社を持つと、それを計算しなくてはなりません。それは毎年の税務署への確定申告のためで、これを怠ると脱税行為と見做されます。これが会社の経理の仕事に当たります。
次に、今までの会社では仕事の依頼を受注してくるのは営業スタッフでしたが、自分で会社を持つと、その仕事もしなければなりません。仕事の依頼を受注しないことにはお金にならないからです。総務関連の仕事は携帯電話があるので、何とかなりますが、独立して会社の経営者になると、グラフィックデザイナーは本業のデザイン制作のほかに、このように経理と営業の仕事が加わります。そうなると、身体はひとつですから一人三役は忙しくなるのは当然のことです。
例え外部の税理士さんに確定申告の手続きを依頼するにしても、そのための日々のお金の動きは記録しなければなりませんし、クライアントから依頼を受けるためには、制作の時間を犠牲にしなければならなくなります。このようなことで、独立して会社を持ったグラフィックデザイナーの日々は忙しくなるでしょう。
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IT・デザイン・クリエイター向け求人サイト、グラフィカルジョブのライターです。デザイン業界に関する皆さんの疑問にお答えできる記事を投稿していきたいと考えています。