人は良い意味でも悪い意味でも、毎日が新しい経験の連続です。有名な格言に、日々これ新たなり、がありますが、同じことは二度とは起きないのです。その意味で考えますと経験は過ぎ去ったことになってしまいますが、その経験が身につくかどうかは、その後に大きく影響してきます。
人は、喉元を過ぎれば熱いお茶を飲んだことを忘れてしまいます。それを忘れなければ、次に熱いお茶を飲むときには冷ますという知恵が働きます。これは経験から身につくことです。特にグラフィックデザイナーの場合、経験の成果は顕著に仕事に現れます。はて、この場合どうすれば良いのか、前に似たようなことをしたが、その時のパソコンとソフトウェアの扱い方を忘れてしまったなどとなると、それは経験にはなりません。そこで多くのグラフィックデザイナーは新しい経験をすると、それをノートなどに書きとめておくようです。
一方、未経験のグラフィックデザイナーではノートは白紙です。そこにこれからの実務での経験が書き込まれるのです。未経験のグラフィックデザイナーが幸いにも就職できたら、ぜひ経験のノートを活用するようにしましょう。また、書きとめるという作業は覚える、見につけるのには良い手段になります。未経験は仕事をすればそのすべてが経験になり、それがスキルアップにつながりますし、スキルアップの目標にもなります。今度はこのソフトウェアのこの使い方にチャレンジしようなどという目標は経験がベースになるのです。
一方で、グラフィックデザイナーを採用する側としては、未経験を見る目は、そのグラフィックデザイナーは「金の玉子」かどうかでしょう。金の玉子とは将来、会社の利益に大きく貢献してくれる有能なグラフィックデザイナーになることです。今は未経験で海のものとも山のものとも判別することはできなくても、少し長い目で見れば必ず成長して、会社での重要な存在になってくれるだろうと考えて採用に踏み切るのです。それには未経験でもきらりと光る自主作品のポートフォリオがあると良いのではないでしょうか。
言い換えれば未経験だから作品がないのは当たり前ではなく、未経験でもこの程度のことはしたという実績が必要だと思います。お金にならなくても自主的にスキルアップを図っているということは努力が要ることです。これはグラフィックが根っから好きでなければできることではないでしょう。また、そうでなければグラフィックデザイナーとしての意義がありません。お金を儲けるのが目標であれば、グラフィックデザイナー以外にも仕事はあるでしょう。
未経験でグラフィックデザイナーになりたいという人は就職の際には作品集を用意するようにしましょう。じょうずや下手はこの際問題ではなく、グラフィックが好きかどうかが未経験の人には問われると思いましょう。
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IT・デザイン・クリエイター向け求人サイト、グラフィカルジョブのライターです。デザイン業界に関する皆さんの疑問にお答えできる記事を投稿していきたいと考えています。